寿寿❤

「こらあ！
なにやっとるの！」


小学生の低学年の男の子３人に
大声で怒鳴っていました




運転しながら最初
小さい彼らをみたときは


駐車場にとめてある一台のクルマの下をのぞきこんで

長い木の棒を持っているコがいましたから

ボールでもクルマの下に入っちゃったのかな？

そー思いましたが

もう一人のコが

ソフトボールくらいの大きな石を持っていました




気になってしまいました



駐車場を探しながら
さっきの場所に通りががったとき
彼らの姿はありませんでした


駐車して知人のアパートに行こうとしたら



子供たちの笑い声が聞こえてきました

石を投げつけてる音が何度も聞こえてきました




鳩がこっちに向かってひょこひょこ近づいてきます

飛ばないの

飛べなくなったの

普通の鳩よりちょっと小さいような

毛並みじゃあなくて羽並みの悪い鳩

さっきのクルマの下から一生懸命逃げてここまできたんだこの鳩



「こらあ！

なにやっとるの！」


彼ら３人はビックリしたようで

その場で立ち止まっていました

「おばさんなんでこんなに怒ってるか
分かってくれてるよね」


「もおしないよね
鳩をいじめないって約束してくれる？」


石を投げてたコ以外の二人は

石を投げてたコだけが

叱られてる気がしたんでしょう

笑っていました


「笑える？

笑えるとこなんにもないよ今」


石を投げてた男のコは

じっとあたくしの顔をみてました

小さな両手はぎゅーぎゅーのグーでした


その彼に近づいていき


「おばさんの言いたいこといちばんわかってくれてるね
ありがと」

と言ってボウズ頭をなでていました



彼も泣けるのを我慢してたようです


あたくしは我慢できずに泣いていました



一台のクルマの下を彼らがのぞいていたとき

あたくしが通りががったとき

彼らはそのとき

みられた…　って目をしてました





あたくしは鳥が大嫌いです

インコも
すずめも
鳩も

鳥が全部こわいんです




でもあの弱った鳩が

あたくしの横を通り過ぎ

何度も振り返りながらひょこひょこ歩いていきました

何度もこっちを見るんです

早く逃げればいいのに

振り返るんです



その羽を使って飛んでってくれることはありませんでした