寿寿❤

毒子は
逃げも隠れもしない
逃げる必要もないし


面白いじゃん
待っとるわ
来るなら来い！デブ男！


毒子って

気が強いし

気も短い

ど短気だっ


なかなかデブ男が来んことに

どんどんイライラしてきた


隣りの市から先輩のクルマで

住所頼りに地図見ながら来るとしたって

もう来てもいい頃でしょ



力が入り過ぎてた分なんか気が抜けた夕方

毒子は

玄関に置かれている電話台の下に閉まってある分厚い電話帳を取り出した


そういえばデブ男の彼女の名字珍しかったっけ

なんとか町だったし


あった

たぶんこれだ


即行、黒電話のダイヤルをまわし始めた

毒子は無言電話なんかしない


「毒崎と申します。◯◯子さんいらっしゃいますか？」

電話に出たのはお母さんじゃあないな

声からするとおばあちゃんだな

「今遊びに行っちゃっておらんけどね」

「そうですか◯◯子さんにお伝えください。無言電話と嘘つくのはやめてください」

「…。」


おばあちゃんよろしくおねがいします

変な電話があったことちゃんと伝えて



結局、デブ男は現れなかった

人騒がせな…


それと面白いことに

その日の晩から無言電話はかかってこなくなった


毎日何回もあった無言電話がピタリとなくなった



　毒…