寿寿❤

見つけたんです


自分が入っている自動車保険の保険証券に

人身傷害なんとかなんとかって


自分が歩いているときクルマの事故にあって

怪我をしたとき治療費がでるってやつ


これしかない

犯人は逃げちゃったんだから


翌日の１月４日には保険担当に連絡しましたよ、さっそく





それから仕事始めまで待って


人身傷害なんとかなんとかでやってもらえます？

って聞きました


なんか…自分の保険でって…
自分悪くないのに…



ついでにちゃんと確認しました

気になるとこ

これって次のとき、等級ってあがりませんよね

って



保険屋さんは

「等級はあがらんよ」
「ちゃんと治るまで病院はいきんよ」
「梅雨時は頭が痛かったりするからね」
「梅雨までは通ったほうがいいら」

なんて言ってくれるから

イイ人だと思ってしまった





事故の当日は
事故のその時って

ほんと痛くないんです

血も出ていませんし
かすり傷も無し

持ってたバッグはかすり傷でしたけど




なのに

翌朝、起きるとなんとゆーことでしょう

首が固まっていた

左後方動かせない

そして

腰には見事な内出血

いちいち押さえてみちゃうんですよね

服の上からそっと

ちゃんと打撲の痛みを感じる

この腰の位置はバイクのハンドルの高さ？



そしてそのときは

まだあたくしは…気づいていなかった…


　　またのん
  

ひき逃げされたけど…

かなり時間経ってるけど

やっぱり許せんわ

保険屋さんのことだけは



2020年１月３日

被害者となった


歩いていたら後ろからバイクに追突される


あたくしが車道を歩いていたなら

あたくしが悪い

だけど

あたくしはドン・キホーテの敷地内のどーみても歩道をただ普通に歩いていただけなのに




それも

あたくしより犯人のほうが怪我がひどいって…

どういうこと？

顔面血だらけで

歯は折れる

原付は粉々


その怪我で

その体で

そんな壊れた原付バイクで

よく逃げたわ

おまわりさんが来る直前のタイミングで



あたくしも

油断していたんだな…


まさか２０分ちかく現場にいたのに

ポタポタ血を落としながら

黙っておとなしく待ってたのに

突然壊れたバイクで走り出すって

やられた…

ど後悔した



それとね

２年以上経ってもまだ許せんくて

あんな保険屋さんのとこに入ってあげて

ど後悔だわ


ご存知です？

　人身傷害なんとかなんとか事故保険　って


　　　またのん







  

あたくしは

ドン・キホーテの敷地内を歩いていた



駐車場にとめたクルマの助手席から降りて

わりと早歩き（あたくしにしたらですけどね）で

ドン・キホーテの建物に向かう

さぶいのは嫌いだし



小さな短めな横断歩道を渡り

ほんとはこの距離だって歩きたくない

お店にいちばん近いとこに止められるもんなら止めたい派

出不精はデブ症である



若者のバイクのマフラーの音が

お正月っぽい

２１時っぽい

なんて思いながら歩いていた




まさか⁉


あの日あの時

あそこに行かなければ

そこまで大好きでもないうちのおぢいさんの靴下をわざわざ買いに行かなければ…



後々

ひき逃げ犯より

保険やさんのことが大嫌いになるなんて



　またのん





  

しばらくすると呼ばれました


急を要するわけではないので

待ちますよ

体調悪そうなお子さんお先にどうぞ

あたくしは余裕がありました





お医者さんに伝えます

あたくしから簡単に


こーでこーであーであーで

一通り聞いてもらって



はいレントゲン検査します


おトイレある

行っとこ

冷えたからね、ずっと外にいたから




レントゲン検査の結果ですが



大丈夫でした

丈夫でした

骨なんて１本も折れてないし



自慢していいですね

バイクに追突されて

勢いよく吹っ飛んで転倒

何回も言うけど

身体能力の高さ自慢


　またのん


  

夜間救急

お正月もやっぱり体調悪くしてる人

けっこういました


どっこも悪くなさそうなあたくしもいる


「すみません。先ほどひき逃げされました。
バイクでしたけど。おまわりさんとの話も済みましたので
一度診ていただけますか？」

驚かない受付の男性

驚いてほしい
疑ってほしい

ピンピンしてるこのあたくしを



保険証お持ちですか？

やっぱり要るじゃん…
要るってやっぱり、おまわりさん…



今回はなくても診てもらえるようだ

また家に戻るのはね…ここまできて

診察済んだら取りに帰ろう

保険証は

明日でも明後日でもいいようなこと言ってくれたけど

早いほうがいい

万が一、この交通事故のせいで

朝起きたら

記憶喪失になってしまってたら…


考えちゃう考えちゃう

いろいろ考えちゃう



長い夜になりそうです

1月３日

もうすぐ日付が変わる




　またのん







  

あたくしは

病院につく前から

いや、もっと前

おまわりさんと現場検証してる最中も


いやいや、もっと前

バイクに追突されて吹っ飛んだときから

おぢいさんのことがずっと心配で…



心配性のおぢいさんのことが心配で…


間違いなく人一倍心配するだろう

心配しまくるだろう



娘が…

５２歳（当時）の娘がひき逃げに遭う


そりゃあもう

おぢいさんには

「大丈夫かん？」なんて聞かれたら

ど痛くても「大丈夫」って答えちゃうね


いくつになっても

親に心配かけてはいけないって気持ちは変わらずのあたくしであった



　またのん


  

事故…

交通事故を起こしたら

救護措置義務がある

これは運行管理者の試験勉強のとき

過去問にもときどき出てきた



事故を起こした当事者は

「大丈夫ですか？」

って聞いてくる

そうすると

被害者も気が動転中

つい

「大丈夫です」って言ってしまいがちです



「大丈夫ですか？」　「大丈夫です」


「大丈夫じゃないですか？」って聞かれてもね


「どこか痛いところは？」ってぶつかってきた運転手に聞かれてもね

急に聞かれてもね

あとでお医者さんに答えますし




もしお子さんがいらっしゃるのでしたら


万が一、交通事故に遭われたら

「大丈夫ですか？」って聞かれたとき

お話できる状態であれば

「大丈夫です」って簡単にお返事しないこと

「お家に連絡します」っていうように

って話をしておいたらいいかと思います



常識のある運転手なら

それでも救急車を呼んでくれる


でもそうでない運転手は

大丈夫なら。って

警察さえも呼ばずに

そのままその場を離れてしまいます



あたくしがそうだったんです


中学生でした

自転車に乗ってたあたくし

右側からいきなりクルマがぶつかってきた

反対側に自転車ごと倒れるあたくし


相手は白いクルマで狭い道からR２５９へ

白いクルマが広い道に出るときに

ちゃんと止まって確認していたら

あたくしにぶつからなかったはず


自分が運転するようになったとき

あの時やっぱり運転手のおじさんが悪いんだ

と気づいた




子供って親に

心配かけてはいけない

って思っちゃうんです

あたくし、あのとき

母親の顔が浮かんだんです


そのときはやっぱり痛くなくて

かすり傷程度

しかし

その夜、そこらじゅう身体が痛いし

右の内もも真っ黒

結局母親と病院に行き

もっと心配かけることに


自転車は走行可能だけど

自転車の傷を見つけると

情けなくなった



いまだに

３８年経った今でも

右の内もものお肉が移動しちゃってへこんでる

変な痛みもずっと…

しつこい後遺症ってやつ？



バカだらあたくし


　またのん

  

おまわりさんに

診てもらうのに保険証は要らないから

って言われたけど…

ほんとにいいのかやぁ

おまわりさんを疑うわけじゃあないけど


助手席からさっさとおりて連れより先にまた

屋根付きの歩道をわりとピンピンしながら歩いて行った



でもね２３時過ぎでしょ

病院の駐車場は暗いし

クルマが後ろから走ってくるだけでも

すぐあたくしの傍を通るような気がして

あたくしは首をすくめてゆっくり振り返った

おっこわこわ


バイクじゃなくても

これがトラウマとかってやつなの？


まさかね

後ろからバイクがぶつかってくるなんて

思わんもん





あたくしは

ただ歩道を歩いていただけなのに

後ろから走ってくるまさにその犯人のバイクの音を聞きながら

そのバイクがどんどん近づいて

思いっきり追突されるなんて



どこ見て運転しとるだん


言えんかったけど


またのん



  

夜間病院へ向かうあたくしは

連れの車の助手席で

４０年以上も昔のことを思い出してみたり

頭は打っていないはず

と安堵してみたり





どこからも血ぃなんか出てないあたくしが

救急車に乗せてもらってたら

迷惑なヒト　

非常識なヒトに認定されちゃいそう


とか


あの犯人、血だらけの輩が逃げなきゃ

輩と一緒の救急車に

被害者のあたくしもついでに乗せてもらえてたのかしら


とか

一人一台の救急車だったら

輩に　お先にどうぞ　って言ってあげられたかしら


とか

今回産まれて初めての骨折だったらどうしようかしら


とか



そして

あの輩、大丈夫なのかな

診てもらわなくていいのかな

あれじゃあ痛くて眠れんだろうな



なんて

余計な心配まで




あっ　着いた

病院着いたで




　またのん


  

おまわりさんたちに勧められた

一度診てもらってください
今はなんともなくても
痛みがあとから出てくるんですよ
交通事故は…


はい
そうなんですよね


あたくしは思い出した

スーパーカブで帰宅途中

飛び出してきた猫をよけようとして

電柱にぶつかった人がいた

救急車で運ばれた先の病院では

異常なし

自宅に帰ってよし



しかし

その日の夜

大丈夫だったはずのその人は

いつもどおり寝ていたと思われたその人は

突然大声をあげ

狂ったように叫び続けたらしい



今度は大きい病院に運ばれて

手足を縛られてベッドに寝かされていた

今、考えると

お薬で眠らされていたのかな



あの夜

電話で連絡を受け

父や母と大急ぎで向かった先の病院であたくしがみた伯父の姿



頭ぶったの？

怖い夢をみたの？


もう４０年以上も前のことだったけど

あたくし、子供だったけど

ものすごく憶えている




　またのん

  

「吹っ飛んでましたよ」

「えっ！このあたくしが？」

「はい　びっくりしました」

目撃者の彼女、初めてだったらしい

こんなとこに出くわすなんてこと



そうですよね

なかなかありませんよね

こんなとこに遭遇しちゃうなんてこと


彼女のおとうさま、警察官

そんなことも話してくれました



さぶいのに長いこと

おつきあいしてもらってありがとうございました

落ち着いたら

豊橋で一番美味しい焼き菓子持ってお礼に行きますから



ん…落ち着いたらって？

今やっぱり興奮気味ってこと？あたくし


　　またのん
  

おまわりさんたちに

よろしくお願いします
輩を必ず捕まえてください

と祈るように頭を下げ


おまわりさんに

病院で診てもらってください

と何度も言われましたし




万が一、打ちどころが悪くて

その日は大丈夫でも

翌朝、還らぬあたくし…ってこともあったりする



血ぃでも出てたら

救急車を呼んでもらえたかもしれないけど



とりあえず夜間で診てもらわなきゃ


目撃者の女性に

お礼を言い

連絡先を聞いた

そしてもうひとつ

聞いてみた

「あたくし、どんなふうに倒れました？」


「吹っ飛んでましたよ」


　またのん


  

お正月、あたくしは

歩道をただ歩いていただけなのに

後ろから走ってきたバイクに追突されて

転倒した

うつ伏せのあたくしは

きれいな大の字で着地？成功と思われた


血ぃ出てませんでしたから




なのに加害者

逃走した犯人、

又の言い方　“輩”は

血だらけ




あのときちょっと思いました

なんてあたくしは丈夫なんだ

頑丈にできているんだって



さぶくて長いことかかりました現場検証

細かく聞かれました

被害者のあたくし

目撃者の女性

あたくしの連れにも、順番に


写真撮影もあり

汚れたバッグを持ってもう一枚

いかんいかん

カメラを向けられると

顔つくろうとしちゃう５２歳(当時)


　またのん
  

おまわりさんが

ひき逃げ犯人のこと


“やから”って呼ぶんです

輩　やから




最初聞き取れなかったのですが

あまりにも連発されるので

その場で自分なりに解釈してみました

こんなことする悪い奴　みたいな



お願いします

その輩を捕まえてください



そう遠くには行ってないはずです

怪我をしています

顔面血だらけです

一本歯を落としていきました

歯抜けです

バイク破片がけっこう落ちていますから

バイクは壊れています



よろしくお願い致します



　またのん
  

事故にあってから

痛いほどわかりました

むちうち　のつらさ



今週も夜のいきなりの雨を当てて

周りを驚かした



驚いたついでのこんなお話


もっと驚いちゃったのが

保険屋さん…


保険屋さんも

はじめの頃は

梅雨時は…なんて心配してくれてるフリをしていた


なのに

いつのまにか

あたくしが　頭痛持ち　ってことになっていた



もともと頭痛持ちだから

梅雨時もそこまで事故の影響ではない

って



あたくしは一言も言ったことない

頭が痛くなるのは　二日酔いのときだけ

だれよりも呑んで翌朝

もう二度と呑まん　って思うときだけ



あたくしが保険屋さんに

「あたくしが頭痛持ちってことになってるみたいですね。
どこから？誰が？」

って聞いてみたら

「あっ…訂正しとくわ」　

ってさらりと答えてくれた


ってことはなに？あなた？



　　またのん








  

犯人は

黒いキャップをかぶっていた

なのでヘルメットは被っていなかった

ってことはご近所か？


お酒の臭い？

そんなに接近していたわけではないので

なんとも…

あたくし、目撃者の彼女、あたくしの連れ

三人とも自信がない





アルコールの臭いしましたか？

ってやっぱりおまわりさんに聞かれたけど

逃げるとわかっていたら

嗅いじゃいますお酒の臭い


そのまえに離しません

逃がしません

今さら…反省



はっきり憶えているのは

バイクの足元のトイレットペーパー


一応それ

おまわりさんに伝えました



　またのん



  

もしも

ある日

ただ歩道を歩いていただけなのに

走ってきたバイクに

後ろからいきなり衝突されたら


せめて

前方からバイクが走ってきてたら

とっさに気づき

身体能力が高いはずのあたくしは

ひょいと横に逃げられたかもしれない


もしかしたら

両腕を横にひろげて

走ってくるバイクを体を張って止めていたかもしれない



あるいは

そのまま後ろに倒れちゃって

大事な後頭部を打って意識がなかったかもしれない



おそがいです


孫を連れてなかったことが

“不幸中の幸い”　ってことにしとこ



　またのん

  

あたくしとしたことが

犯人の服装を上から下までハッキリとは

記憶していなかった


まさか逃走するとは思っていなかったし…

情けない

ほんと情けない


逃げられちゃうし

免許証とかで本人確認もしていなかったし

服装も憶えてないし


情けな過ぎる…



今度のときには

気をつけようと思っている

ちゃんとしようと思っている




犯人の服装

下だけなら憶えている


ブラックデニムで

破れたとこいっぱいで

ちゃんと当て布してある

ちゃんと全部縫ってあるデザイン

多すぎだよダメージ

センスの悪いこと



あたくし地面に座っていて

血だらけの犯人に

だいじょうぶですか　って一応聞かれたとき

そのとき見た

ちゃんと見た

犯人の　おズボン


　またのん


  

犯人の特徴は

逃げた犯人は

若くない

あんなバイク音のくせに

全然若くない


あたくしを後方から襲った若者と見せかけたあのバイク音

まさかの…




あたくしが座り込んでて見上げた先の

血だらけの犯人は


年の頃　４０過ぎてて５０くらい

いいとこついてると思う…４０なかばだな

あたくしより若い

あたくしより弱そ



背は

大きくない


転がったバイクの傍で並んだ二人

あたくしの連れが１８０

とすると

１７０は無い

全然無い

１６５前後とみた




服装は…それが

あたくしとしたことが

上から下まで全部記憶していなかった



　またのん
  

現場検証とは時間がかかるものです



犯人のいない現場の検証

犯人が逃げなきゃ

もうちょっとはやく済んでただろうに

目撃者の彼女には

ほんと申し訳ないと思った

さぶいし…

ほんとさぶいし…

１月３日の夜





こんなふうにこんなふうにと

あたくしが証言していくと

距離を測るコロコロを

慣れた感じで動かすおまわりさん





聞いて聞いて

忘れちゃわないうちに

犯人の特徴聞いて


　またのん